制服の上から、先ほど買ったばかりのパーカーを羽織るなど変装まがいのことをして。

かれこれ40分くらい、ドリンクを飲みながら見知った顔がいないかを観察している。


良く言えば探偵みたいで、悪く言えばストーカーみたい……。


冷静になると、自分の行動に若干引いてしまう気持ちもあった。


……どうしよう。

やっぱりこんなことするの、危ないかな。

でも、……本条くんは、もうなぎ高の生徒がわたしに近づくことはないって言ってくれていたし……。

遠目で見るくらいなら、大丈夫かなと思っちゃったんだ。


偶然飛鷹のことを見つけられたら、……なぎ高に通ってるんだって確信を持てたら、それだけでいい。

話しかけにいったりしないし、すぐに帰る。


そう自分に言い聞かせながらも、甲斐田くんに対しての罪悪感はじわじわ消えない。

帰るころに連絡して、普段の通学範囲から付き添ってもらおうかなと考えていたけれど……。


切り上げるタイミングが難しい。

考えてみたら、なぎ高の生徒全員がここを通るわけじゃないんだし、途方もないようなことだ。

終わりが見えない。


わたしが勝手に思い込んでいるだけで、予感が検討外れの可能性だってあるんだし……。


ストローを吸うと、ズズ、と小さく音が立った。