「……前から気になってたんだけど」
反省しているところに、本条くんから新たに切り出されて、わたしは少しだけ身構えた。
「平石さんはイブキのこと、どう思ってるの」
「……どう、って?」
求められている答えの形がわからなくて、質問に質問で返してしまった。
それって、優しい、とか。意地悪、とか。……そういう次元の話ではない……よね?
こんなことになった今、イブキくんに悪い印象を抱いてるかどうかってことかな。
心の中でまで、あれこれと自問自答してしまっていると。
「──好きだったりするの」
思ってもみなかった補足が飛んできて、時が止まった。
ぱちくりと本条くんに向けて目を見張る。
彼はとっくに窓のほうに顔を背けていて、その表情はわからなかった。
わたしが会いたい、なんて言ったせいで、単に疑問が浮かんだのかもしれないけど……。
いつもの冗談や、わたしをからかう目的の言動とは少し違うような。
質問してきたわりに、大してこちらへの興味はなさそうな態度にも見える。
「そういうわけじゃないよ。……だって、つい最近まで、思い出の中の人って感じだったし……」
わたしは小学生のイブキくんしか知らないから。
正直なところ、好きになるどうこう以前の関係値だと思うんだ。


