スマホを取ってくれて、……てっきり、こちらへ渡してくれると思ったのに。
画面を確認するなり、飛鷹が勝手に応答ボタンを押してしまった。
『……平石さん? 大丈夫?』
スピーカー状態にされ、本条くんの声が静かな部屋に響く。
会話が全部丸聞こえになってしまう形な挙句、わたしは組み敷かれたまま。
この体勢で話せってことっ……?
飛鷹の行動に戸惑いつつ、だけど返事をしないわけにもいかなくて。
「あ……本条くん、ごめんね……! チャイム、隣の部屋との間違いだったみたいで……それで……ええと。わたし、あのあと気分悪くなっちゃって……、っ」
できるだけはやく通話を終わらせられるようにとまくし立てる途中で、飛鷹がいきなりわたしの胸元を撫でた。
寝る前だからと、下着をつけていなかったせい。
不意打ちで、人に触れられ慣れてない部分に直に辿り着かれ、声をあげそうなって──。
すんでのところで我慢できたのは、もうほとんど奇跡に近かった。
絶対、……絶対、本条くんに聞かれるわけにはいかない。
『それで? 体調は大丈夫なの』
「う、うんっ。薬、飲んだ……けど、ちょっとしんどくて。今日はもう寝ようかな……って。待たせちゃってごめんね」
『いーよ。俺のほうこそ、遅くに連絡してごめん』
「ううん……だい、じょうぶ」
指先でくすぐるように往復されたり、きゅっと力を込められたり。
飛鷹に弄ばれる度、少しでも気を抜いたら、意識をまるごと持っていかれてしまいそうだった。
同級生と通話を繋いでいる裏で、なんてことしてるんだろう。
本当に今は、ダメなのに……っ。
恥ずかしさがキャパオーバーしそうになって、生理的な涙が滲む。
わたしの訴えるような視線をすました顔でかわす飛鷹は、ゆるやかな刺激をこちらに与えながら、スマホを枕元に置いた。


