Ephemeral Trap -冷徹総長と秘めやかな夜-



心なしか弱って見える飛鷹を部屋に招き入れ、静かに扉を閉める。

もの淋しい外の世界から彼を切り離せたことに、なんとなく安堵した。



「狭いけど、どうぞ……これも使って?」



用意した座布団の上に座らせて、改めてタオルを押しつける。

けれど、飛鷹はちっとも受け取る素振りを見せず。



「拭いてくれねーの?」



にやりと冗談ぽく、立ったままのわたしを見上げてきた。

うっ……、と。

今までとはどこか違う雰囲気に、いつも以上にペースを乱されてしまう。


どことなくぼんやりしているし……。

喋り方にも力がないし……。

なんていうか、……甘えモードの、猫みたい。


わたしは仕方なく膝をつき、タオルで飛鷹の肩を包むようにして、濡れている部分をそっと拭いた。



「なんか、いー匂いすんな」

「へ?」

「あー。わかった」



あっと驚く間もなく、するりと腰に腕を回される。

そのまま引き寄せられれば、ふたりの体が密着して、鼓動がはやまった。



「ちょっ……と。拭けないよ」

「お前、風呂上がりか」

「そ、そうだけど……、っ」



すん、と首元を嗅がれて、恥ずかしさから体が熱くなる。

続けて、ちゅ、と音を立てられたと思ったら、舌で滑るように触れられて。



「や、……ぅ」



反射的に顔を隠すように俯くと。

そんなわたしの行動を見越していたかのように、飛鷹は下からすくい上げるように唇を重ねてきた。