うまく伝えられているか、わからなかった。
だんだん、声と一緒になって感情までもれ出してしまっている気がした。
情けない気分。
それでも、彼が相槌を打たずにわたしの言葉を待ってくれていたから。
途中でやめることはしなかった。
「自分の中に、……爆弾を隠し持ってるみたいな心地でね。いつか何かのきっかけで、火がついて、……お母さんの新しい幸せを、わたしの手で壊しちゃうんじゃないかって、怖かった。
……だから、理由をつけてわざと遠い高校を選んで、ひとり暮らしをするって我儘を言って……。もちろんお母さんには反対されたけど、“お父さん”は優しいから、わたしの意思を尊重してくれた」
今では、あのときの自分の判断を、よかったと感じてる。
一定の距離を保てば、思惑通り、上手に家族でいることができた。
連絡だって頻繁にとるし、定期的にみんなのところに帰ったりもしている。
「簡単に言うと、──逃げたの。かっこ悪いよね」
空気を重たくしたくなくて、最後に軽く笑いを押し出した。
……どう思われたかな。
彼の表情を確かめるのが怖くて、背中を丸める。
訪れた沈黙は、波がさらっていってくれたから、ありがたかった。
「逃げ、っつーか、守ったんじゃねーの」
「……え?」
「壊さないよーに、って離れたんだろ? 結果、家族の仲を守ってんじゃん。お前なりの方法で」


