「槙野だったら、何味にする?」

校門を出ても、景色の色が変わったようには見えなかった。
色の無い冬は、案外好きだ。その中で見つけるヤヨちゃんの赤い頬っぺたが可愛いから。
寒いねって声をかけるのも、寒くない?ってその頬っぺたを暖める役目も僕には無いけれど、それでも可愛いヤヨちゃんを見ていられるのなら僕はそれでいい。

歩くたびに足元の雪がギュッと音を立てた。
僕の後ろには僕一人分の足跡が続いている。
ヤヨちゃんと涼太の後ろには、当たり前だけれど、二人分の足跡が出来ているんだろうなぁなんて思った。

いちご、レモン、宇治金時、ブルーハワイ。練乳、みぞれ。

「槙野だったら何味にする?」

ヤヨちゃんの声。僕にだけ届く、ヤヨちゃんの声。

「僕は…。」

いちご、レモン、宇治金時、ブルーハワイ。

「槙野だったら何味にする?」

練乳、みぞれ。

「僕は…。」

僕は、明日は雪がやんで、綺麗に溶けて、アスファルトが見えていればいいなって思った。

僕の後ろにも、ヤヨちゃんと涼太の後ろにも、足跡が残らないように。