「槙野だったら、何味にする?」

「何やってんの。」

頭の上から声がして、僕は見上げた。二階の涼太の部屋の窓から、涼太が顔を出している。

「ちょっと涼太!バスタオル持ってきて!」

おばさんが涼太に向かって叫ぶ。涼太はもう一度、「ほんと何やってんだよ」って言って、窓を閉めた。

涼太はすぐにバスタオルを持って、外に出てきてくれた。そのバスタオルを借りて髪の毛や顔を拭いた。

「本当にごめんなさいね。風邪でも引いたら大変。」

「大丈夫です。自分こそごめんなさい。急に出てきちゃって。もう暑いくらいだし、すぐ渇きます。」

僕とおばさんがペコペコ謝り合うのを見ながら、涼太がとにかく中入れよって、僕を促した。
涼太の家に上がって、おばさんがリビングでちょっと待っててと言った。
リビングで待っていると、おばさんは手にTシャツとハーフパンツを持って戻ってきた。

「これ、涼太のでも良かったらとりあえず着てて。お洋服、洗濯して乾燥機にかけておくから。小学生の頃のだから、そんなに大きくないと思うわ。」

そこまでして貰うのは悪いですって僕は断ったけれど、涼太もおばさんも風邪引いたら駄目だからと、引き下がらなかった。
僕はお言葉に甘えて、Tシャツとハーフパンツを受け取って、脱衣所を借りて着替えた。
涼太の服はやっぱりちょっと大きかった。しかも小学生の頃のなのに。その服も、バスタオルと同じ匂いがした。
ずっと洗濯洗剤も柔軟剤も変えてないんだなぁとか、どうでもいいことを思ってしまった。

涼太は先に部屋に戻っている。僕はもう一度リビングに行って、おばさんにお礼を言ってから、涼太の部屋へ向かった。

涼太の部屋のドアをノックして開ける。着替えた僕を見て、涼太はぶかぶかじゃんって笑った。