「槙野だったら、何味にする?」

その日は一日中雨が降っていて、放課後の体育館は部活で使うからと、文化祭の作業は出来なかった。久しぶりに早く帰れることになって、僕はちょっとうれしかった。

ヤヨちゃんの思い出作りの為に参加した実行委員も、ヤヨちゃんと一緒に居られないのなら、何の意味も無い。実行委員に参加していなければいつもと同じ放課後を過ごして、ヤヨちゃんと涼太は二人で帰って、僕は教室で暗くなるのを一人で待っている。
明日になればヤヨちゃんがまた「槙野!」って言いながら僕を見つけてくれる。その繰り返しで良かったのに。

体育が終わっても、放課後になっても、結局ヤヨちゃんとは話せなくて、次の日になるとまた文化祭の準備が始まった。
また次の日、そのまた次の日と作業はどんどん忙しくなってきて、今まで通り校門の装飾を作ったり、時々バルーンアートを手伝ったり、文化祭が近づいてくると、体育館の会場設営を手伝ったりもした。

ヤヨちゃんとは話せないまま、涼太とはいつもと変わらない僕達に戻りつつあって、ヤヨちゃんと涼太はギクシャクしたままだった。
涼太は気にしていない様だったけれど。そんな僕達のまま、文化祭当日を迎えた。

文化祭前、最後の放課後、校門に装飾のパーツを組み合わせていって、最後にアーチを取り付けて、完成した。
僕達が作ったゲートは本当に鮮やかで賑やかで、立派だった。

ヤヨちゃんがあんなに悩んでいた「個性的な色」には結局ペンキが使われていて、学校の名前には、七色のラインが入っていて、虹の様になっていた。