それはきっと、甘い罠。






鞍馬君の顔がゆっくりと近づいてくる。


私の顔の横を通りすぎたかと思えば、耳元で息を吐く様に囁き始める。



「幼馴染みよりも深い、それ以上の関係になってみる?」


「……っ」


「そしたらさ、照島じゃなくて俺の誘いにも乗ってくれるってことでしょ」


「……鞍馬くん、近いよっ」


「わざとじゃん。近い方が、俺のこと意識してくれるでしょ。」




もう十分意識してるよ~!

ていうかなにこの状況!!


平凡な私の人生に一体何が起こったんだろう。


というか……やっぱり。


鞍馬君がカッコよすぎる。


いきなりクラスの人気者に迫られて、バクバクと心臓の音が度を超えて鳴っているのが分かる。



熱い顔。どんどん体の力が抜けていって。



フラついた足元に、後ろの机に向かって倒れそうになった時。


「ーーおっと」


私の背中に腕を回してきた鞍馬君が、力が抜けきった体を支えてくれた。