「私たちは、きみたちがからかって遊びたいような、いわゆる『カップル』じゃないの」


……いや、そうだけど。



なんとなくトドメを刺された気分。



「デートはしてるけど、カップルじゃないの。きみたちには分からないかもしれないね。もう少し大きくなってから、出直しておいでね」



さやかちゃんは相変わらずクールな表情だ。

何も間違ったことは言ってないけれど、『出直しておいで』という言葉に、オレはほんのりと恐怖を感じた。




小学生のみんなもそうだったらしい。


「お姉ちゃんが、1番怖い」
と、坊主頭の男の子が呟いた。



そして何故かオレに、
「がんばれ!!」
と応援の言葉をかけてから、小学生たちは去って行く。




「……何だったんですか、あの子たちは」


さやかちゃんは不思議そうだ。


「私には『がんばれ』って言ってくれないんだ……」
と呟き、今度は少しだけしゅんとしている。




不思議な子だ。


でも、そういうところも可愛く見えるから、オレは本当にさやかちゃんが好きなんだなぁと思った。