【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈改稿版〉



 その次の日も藍の後を付けていくと、あの女はマンションに来ていた。 
 そしてまた藍に近寄り、何かを言っていた。必死に訴えているようにも見える。

「やっぱり……また今日もいる」

 会話の内容は離れていてよく聞こえないけど、明らかに藍は、嫌がっているようにも見えた。

「……え?」

 そしてその時、立ち去ろうする藍の腕を強引に掴んで引き寄せたその女は、そのまま藍の口に、キスをしてきたのだった。

「……っ!」

 え、ウソでしょ……。今あの人……藍にキス、した?

「やめろ……!何するんだ……!」

 藍は明らかに動揺しているようにも見えた。大きな声で怒鳴りつけていることだけは、見て分かった。
 
「……っ、何なの……。何なのよ」

 あの女、何なの……。あの女、藍のなに?

「何でキス、するのよ……」

 藍も藍だ。油断してるから、そんなことをされるのだ。……バカなのよ、藍は。

「……帰ろう」

 そんな二人の姿を見ているうちに、ショックがどんどん大きくなっていったわたしは、散歩するのをやめて大人しく家に帰った。
 家に帰るとわたしは、ベッドに横になりながら、ため息ばかり付いた。

「アンタのパパ……何考えるのか、分からないよ」