藍は自慢げに「だって俺、ようやく透子と両想いになった訳だし?」と言ってきた。
「……な、何言ってんの、もうっ」
「俺ば事実゙を述べただけだ」
からかってるのか、そうじゃないのか分からないんだけど……。
「透子、帰ったらまた抱きしめてやるからな」
「はぁ?いいって、別に……」
「俺が抱きしめたいんだよ」
そう言われると、なんか断れない……。ていうか、断りにくいよね……。
夫である以上、断るのもなんか違う気がする。
「ほら、もう行く時間でしょ?」
「ああ。じゃあ行ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」
藍が仕事に出掛けるのを見送ったわたしは、食器の片付けをした。
そして藍が忘れ物をしていることに気付いた。
「もう、藍ってば……忘れ物してるじゃん」
わたしと両想になったからって浮かれてるのね。届けてあげないとダメだよね……。しょうがない、届けてあげるか。
わたしはスマホと一応お財布、そしてカードキーを持ち急いでエレベーターで一階まで降りた。
「どこだろう……?」
そんなに遠くまでは、行ってないはずだと思うけど……。
藍のことを探して歩いていると、遠くで藍を見つけた。
「え……?」
だけど、藍はそこに一人じゃなかった。なぜか隣には、仲良さそうな女性がいたのだ。



