「……え?」

 ちょっと待って……。こんな所でプロポーズするの……?
 ちょっと待って。そんなのズルくない……。そんな風にされたら、断わることが出来ない雰囲気になるじゃん……。

「透子も赤ちゃんも、この俺が必ず幸せにすると約束する。……俺が生涯愛するのは透子、君だけだ。何なら誓ってもいい、この指輪に」

「……なんで」 

 そんなこと言われても、何も言い返すことの出来ないわたしって……。もしかしてこの男に、少しでも期待を持ってるってことなの?
 この前みたいに、断ろうと思ったの。そう思っていたのに……。
 
「……っ」

 なぜかそれが出来ないーーー。

「愛してる、透子。 だから、俺と結婚してほしい」

 そう言って答える間もなく、彼はわたしの左手を取り、わたしの左手の薬指にその結婚指輪をそっと嵌めた。
 その指輪のダイヤがキラキラと輝いていて、とてもキレイな指輪だった。

「……その言葉、守ってくれるんでしょうね」

「え?」

「生涯わたしだけを愛するって言葉よ。……その言葉、本当に信じてもいいの?」
 
 なぜか不思議と、そう言葉にしていたわたしだった。

「信じていい。必ず幸せにするから、透子も子供も、絶対に」

「……約束を破ったら、即離婚するからね」

「ああ。構わない」