「さ、降りて」

「え?」

「ほら、手貸して」 

 そう言われて助手席のドアを開けた高城藍は、わわたしの腕を取ると、わたしを助手席から降ろした。

「……ありがとう」

「ちょっと来てくれ」
 
「え? あ、ちょっと……!」 

 そのまま手を握られ、歩かされる。

「……え、何ここ」

 連れて来られたのは、とある花畑だった。

「すごい……。キレイ」

 色とりどりのキレイな花が咲くその花畑は、なんだかちょっとだけ、心を癒やしてくれるような気がした。

「これを君に見せたくて」

「え、わたしに……?」

「ああ。君だけに、だよ」

 わたしだけのために……。
 なんかちょっとだけだけど、それも悪くはない気がする。特別感というか……。
 なんかこう……。わたしだけのために用意してくれたのかと思うと、ちょっとだけ嬉しかった。

「……ありがとう」

「喜んでもらえて良かった」
 
 そんな笑顔を向けられたら、不思議とドキドしてしまう気がした。
 そんなことを思っていると、高城藍がわたしの手をぎゅっと握りしめる。
 そして花畑の真ん中まで連れて来られた。

「透子、何度でも言う。俺と結婚してほしい」

 高城藍からまたプロポーズを受けたのだった。
 ーーー今度は、結婚指輪付きで。