「そうなんか……。 アンタ一人で、育てるつもりなんか?」
「……はい。そのつもりです」
わたしはそう答えると、女将さんの方を見た。
「そう……。アンタは、本当にそれでええの?」
そう問いかけられたわたしは「え?」と返事をした。
「一人で産む言うても……。子供を一人で育てるのは大変やろ?お金もかかる故、働きながら子供を育てるのは、容易じゃないんよ?」
女将さんからそう言われ、現実に引き戻されてしまう。
「……分かってます。だけど、あの人には……。高城ホールディングスには、頼りたくないんです。わたしはあの人たちを許したくない……。許せる訳、ないんです。 あの人たちは、わたしたちを……夕月園を、めちゃくちゃにしたんですよ?倒産にまで追い込んだ」
わたしのその言葉に、女将さんは黙ったままわたしを見つめていた。
そしていきなり、こんなことを話しだした。
「実は言うとね……。夕月園の経営が終わってからしばらくして、高城藍さんがわたしの所に来たのよ」
「……え?」
高城藍が、女将さんの所に……?
「アンタのことを探してる言うとったのよ。アンタの居場所を知らないかって、うちに聞いてきてん」
「高城藍が……?」
なんでそんなこと……。



