その次の日、カフェで働いている仲間の子から、休憩の時に妊娠のことについて触れられた。

「透子ちゃん、働いてて大丈夫なん?……妊娠、してるんやろ? 昨日聞いたんやけど」

「……大丈夫です。心配せんでも、無理はせんようにしますから」

「そう?何あったら、遠慮なく言うんよ?」

「はい」

 だから余計な心配、かけたくなかったのに……。アイツのせいだ。何かも、アイツのせい。
 アイツと出会わなければ、わたしはアイツと身体を重ねることもなかったし、妊娠することもなかったんだから。

「てか昨日のあの人、高城藍よね? 子供の父親なんやろ? 結婚はせえへんの?」

 そう聞かれてわたしは「結婚するつもりは、ないので」と答えた。

「え、そうなん?なんでや?」

「……あの人とわたしは、住む世界が違いますし」

 わたしはあの人とは、どう見ても不釣り合いだから……。

「え?せやけど……」

「……子供のことを考えての、決断です」

「そうなんか……」

 産まれてくる子供に父親がいないのは可哀想だとか言われることも分かっている。
 けどわたしは、自分の人生のことを考えて決断したい。

「……子供には、罪はないですし」

「まぁ、そうやけど……」

 言いたいことはなんとなく、分かっているけど……。