そんなこんなで名前が呼ばれ、わたしは診察室に入った。

「あら、今日は旦那さんも一緒なのね?」

「……まだ旦那じゃ、ありません」

「あら、そうなの?」

 なんて先生に言われると、高城藍は先生に向かって「大丈夫です。これからちゃんと、旦那になるので」と笑顔で答えていた。

「ちょっと、やめて……」

「いいだろ?父親は俺なんだから」

 こういう時だけ父親面しないで……。そういう所もムカつく。

「はいはい。仲がいいのね、お二人は」

「仲良くなんてないです」

「はい。仲良いです」

 わたしの言葉とかぶせるようにそう言ってきた高城藍は、わたしを見て「な?」と微笑んでいた。
 一瞬それを見てわたしはイラッとしたけど、何も言わないことにした。

「さ、診察始めるわね」

「はい」

 血液検査や体温チェックを終えて、超音波検査をしていく。
 
「エコーしていくわね」

「はい」

 エコーで赤ちゃんの心拍などを確認していく。

「先生。これが、赤ちゃん……ですか?」

 エコーを見ながら高城藍は先生にそう聞いている。

「そうです。まだこんなに小さいけど、ちゃんと生きてるんですよ?」

 エコーでの画像を確認しながら、高城藍は嬉しそうな表情だった。