このバカ……! なんてこと言うのよ!
しかもみんなの前でなんて……!どういう神経してるの……!!
「すみません。言ってなかったみたいですね。 透子は今妊娠しているんです。俺の子です」
「ちょっと……!」
「そうやったの? なんだ。言ってくれれば良かったのに!そしたらシフトも変更するのに」
なんでもう、余計なことをペラペラと喋るのよ!この男は……!?
本当に信じられない……! このクズ御曹司!
「いえ、その……」
「すみません。ちょっと透子借りていきます」
「はいはーい。どうぞ」
高城藍はわたしの手を引っ張ると、そのまま車のドアを開けて中に乗り込んだ。
「ちょっと、どういうつもり……!?なんであんなこと……!」
わたしはすぐにそう言いつけると、彼を睨むように見た。
「あんなことって……。事実を話しただけだろ?」
「だからって、みんなの前で言わなくたって……!」
「そう言わなければ、君は無茶をするだろ?」
「……そんなこと、ない」
無茶なんてしない……。自分の体のことを一番分かっているのは、わたしなのに。
「透子、何度も言ってるだろ?君の身体はもう、君一人のものじゃないんだ。あまり心配させないでくれ」
「そんなこと、わたし頼んでない」



