「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「二人です」
「お好きな席にどうぞ」
お客様を店内へ案内し、わたしはお冷をトレーに乗せてお客様の元へと運んだ。
「お冷になります。ご注文がお決まりになりましたら、こちらのボタンでお呼びください」
「おおきに」
「……えっ!?」
一度カウンターへ戻ったわたしの視線に飛び込んで来たのは、高級車の運転席から降りてくる高城藍の姿だった。
「な、なんでアイツが……?」
スーツ姿の彼は、スタスタと店内に向かって歩いて来たのだった。
「透子、やっぱりここにいたのか」
「な、なんでアンタがここに……!」
この店の雰囲気にはどう見ても似つかわしくない彼の姿は、誰から見ても目立っている。
そんなイヤな視線は一気に、わたしたちの方に向いている。
「ダメだろ?まだ安定期に入っていないんだ。無理しちゃ身体に響くだろ」
そして突然、そんなことを言われて、また更に注目の的になっていく。
「ちょ、ちょっと……!!」
何でここでそんなことを言うのよ、この男は……! 場所を考えなさいよ!場所を!
「え? 透子ちゃん……もしかして妊娠してるの?」
「えっ!? あ、いや、それは……!その……」



