「おかえり、藍。待ってたよ」

「透子、会いたかったよ。待たせてごめん」

「わっ……!?」

 帰ってきた途端、藍はわたしをギュッと抱きしめてきた。

「藍、痛い……」

「ああ、済まない」

 そして藍の誕生日の飾り付けをしたその部屋を見て、藍は「うわっ……!なんだこれ? すげぇな」と言葉をもらした。

「これ、全部透子がやったのか?」

 と聞かれ、わたしは「うん。そうだよ」と答えた。

「すげぇな……。嬉しいわ」

 藍は嬉しそうに笑っていた。

「本当?よかった。 この子もきっと、喜んでると思うよ」

 お腹の赤ちゃんに手を乗せると、藍もその手を重ねるように握って「……そうだな。喜んでるといいな」と言っていた。

「藍……お誕生日、おめでとう」

「ありがとう、透子。嬉しいよ」

「……大好きだよ、藍」

 藍への気持ちを伝えるなんて、本当は恥ずかしくて仕方ないけど……。今日は特別な日、だからね。

「嬉しいね。゙大好ぎって言ってくれるんだ?」

 藍はニヤニヤしながらそう言ってきた。

「……だって今日は、特別な日だし。素直になるよ、それは」

「嬉しいね、それは」

 藍の一年に一度の誕生日、だからね。初めて祝う、藍の誕生日を。