藍に元カノがいること自体は、元々予想が付く。藍がどんな女と付き合ってたとしても、それはそれで構わない。
 けど、中途半端なことだけはしないでほしい。

 わたしは藍を信じる。ううん、信じないといけない……。
 藍はわたしの夫なのだから。

「元カノ……か」

 藍に元カノがいても当然だし、何も不思議ではない。だけど藍がどんな恋愛をしてきたのかなんて知らないし、知りたいとも思わない。
 だけどわたしが、藍の妻だってことに変わりはない。 元カノのことなんて、今のわたしにはもう関係ないから。

「……あなたのパパは、本当に大切にしてくれるよ。わたしたちのこと」

 この子を幸せにすることだけが、わたしたちの指名だ。この子の成長を二人で見守ることが、わたしたち夫婦の役目だから。
 藍の元カノのことなんて興味ないし、わたしはわたし。元カノより、わたしの方が大切にしてもらってることに変わりはない。

「赤ちゃん……産むんだもんね」

 強くならなくちゃ。元カノになんて、負けたらダメだ。
 そもそも、負ける訳はない。

「藍……好きだよ。大好き、だからね」
 
 藍がわたしを愛してると言ってくれるように、わたしも藍のことを好き。
 大好きなんだよ、藍のことが。