「なんとかするって……。どうするの?」

「もう一度話すしか、ないと思う」

 と藍は言うけれど……。そんな簡単にうまく行くとは、思えない。

「そんなんで、うまく行くの……?」

 と問いかけるけど、藍は「分からない。でもやってみるしかないだろ?」と答えた。

 要は、ダメ元ってことか……。今のところは、それしかないか。

「……無理、しないでよ」

 と伝えた途端に、駅に着いてしまったようだった。

「着いたな」

「そうだね」

「じゃあ……寂しいけど行ってくるな」

 駅の改札に向かう藍に、わたしは「行ってらっしゃい」と伝えた。

「帰る時、連絡するから」

「分かった。気をつけてね」

「ああ。お前もな」

「……うん」

 わたしは藍の背中が見えなくなるまで見送ると、そのまま家に帰るためまた元の道を歩き出した。

「なんとかするって言ってたけど、本当に大丈夫なのかな……」
 
 藍のことだし、大丈夫だと思うけど……。

「……さすがにもう、いないか」

 マンションの前で待っていたと思われる元カノは、すでにいなくなっていた。
 藍がわたしと結婚していること、そして子供が出来たことを、元カノは知ってて近寄っているのだろうか……。
 諦めてくれると、いいんだけど。