「ダメだよ依茉、手があれば絵が描けるじゃない」
「お兄ちゃんは何も分かってない!!」
足で物を踏む感触、手で触れた感触、外の空気、気温、湿度、物音、人の声…
その全てが、私のセンスを駆り立て、キャンバスにぶつかる。
その時に素晴らしい作品ができるというのに。
こんな籠の檻で、何を描ける?
絵を描けないことへの絶望?兄への失望?
はたまた、この部屋の天井?
「お兄ちゃんには何も分かってない、絵の何もかもが」
「どうして?昔は二人でいればそれで良かったじゃん」
「今は違う。…ずっと家族のフリをして騙してたくせに」
そう、私は騙されていた。
偽物の家族愛に溺れていた。
偽物の家族を、数年間も追い求めては泣き崩れていた。
その絶望を、どう描こう?
どう描けるというのだろう?
「わかった、わかったよ。外してあげる」
その代わり、と条件をつける。
「依茉が外出ていいのはアトリエだけ」
あの男たちとは会わないように、兄はそう言った。
…でも、アトリエに行けば隼人くんがいる。
何かしらの助けを呼べるかもしれない。
何かしら、救われるかもしれない。
「お兄ちゃんは何も分かってない!!」
足で物を踏む感触、手で触れた感触、外の空気、気温、湿度、物音、人の声…
その全てが、私のセンスを駆り立て、キャンバスにぶつかる。
その時に素晴らしい作品ができるというのに。
こんな籠の檻で、何を描ける?
絵を描けないことへの絶望?兄への失望?
はたまた、この部屋の天井?
「お兄ちゃんには何も分かってない、絵の何もかもが」
「どうして?昔は二人でいればそれで良かったじゃん」
「今は違う。…ずっと家族のフリをして騙してたくせに」
そう、私は騙されていた。
偽物の家族愛に溺れていた。
偽物の家族を、数年間も追い求めては泣き崩れていた。
その絶望を、どう描こう?
どう描けるというのだろう?
「わかった、わかったよ。外してあげる」
その代わり、と条件をつける。
「依茉が外出ていいのはアトリエだけ」
あの男たちとは会わないように、兄はそう言った。
…でも、アトリエに行けば隼人くんがいる。
何かしらの助けを呼べるかもしれない。
何かしら、救われるかもしれない。



