キミを描きたくて

依茉から渡された、一通のラブレター。
中身は愛の言葉…なんかじゃなくて。

それは、1枚の悪魔の紙だった。


「…デートしなければ、依茉をいじめる?」


その一文に頭が真っ白になる。
教室での依茉は浮いていて、各方面から悪口をコソコソと言われていた。

そんな幼稚なことしかできないやつらに腹が立つが、依茉に危害が及ぶのはもっと腹が立つ。

依茉のことが大事なのを知っていて。弱みを握って。

そんなデートをして何が楽しいんだろう。
それでも、する以外の選択肢は残されていなかった。


「紫月様〜!」


そう走りよってくる女。
気持ちが悪くて、仕方がなかった。


「ねえ"紫月様"、私、服見に行きたい〜!」

「そう。じゃあ行くか」

「ほんと〜!?やったあ!」


腕を絡ませて歩く。
依茉は、今頃何してるだろうか。

そんな時、ふとスマホを見た時の事だった。


"花火の予定、キャンセルで"


心臓が止まったかのように、固まる。
女は俺の顔を覗き込んで言った。


「どうしたんですか?顔色、悪いですよ」

「…ごめん、ちょっと目眩がして」

「えーっ、せっかくのデートなのに!」

「ごめん、帰ってもいいかな」


暑さでやられたかも、なんて嘘をついて女をまく。
頭の中は混乱していた。