胸が高鳴りの予感を覚えた直後であった。
「失礼いたします」
扉が開いた。
そこに立っていたのは、予想通り、フレン。
ただし、グレイスが初めて見る姿であった。
服がまったく違う。グレイスに接するときの大半がそうであるような従者としての黒い服や、礼装や正装のタキシードとも違う。
色がまず、白だ。かっちりしたジャケットと、しっかり折り目の付いたスラックス。そして控えめな装飾がそれらを飾っていた。
まるで……貴族の息子、といった様子であった。
グレイスはなにも言えなかった。嫌だとか嬉しいとか。そんな領域まで思考が及ばない。ただ、目を丸くしてそんな格好のフレンを見つめるしかなかった。
グレイスの様子に、そして見つめてくる視線にか。フレンは笑みを浮かべた。
ちょっと照れた様子、という表情。グレイスは今まで何度も見て、よく知っている表情だ。
それで思い知った。
これは確かにフレンなのだ。自分の傍にずっといてくれたひとだ。
格好など関係ない。来てくれた、のだ。
「フレン=ラッシュハルトです。お嬢様」
「失礼いたします」
扉が開いた。
そこに立っていたのは、予想通り、フレン。
ただし、グレイスが初めて見る姿であった。
服がまったく違う。グレイスに接するときの大半がそうであるような従者としての黒い服や、礼装や正装のタキシードとも違う。
色がまず、白だ。かっちりしたジャケットと、しっかり折り目の付いたスラックス。そして控えめな装飾がそれらを飾っていた。
まるで……貴族の息子、といった様子であった。
グレイスはなにも言えなかった。嫌だとか嬉しいとか。そんな領域まで思考が及ばない。ただ、目を丸くしてそんな格好のフレンを見つめるしかなかった。
グレイスの様子に、そして見つめてくる視線にか。フレンは笑みを浮かべた。
ちょっと照れた様子、という表情。グレイスは今まで何度も見て、よく知っている表情だ。
それで思い知った。
これは確かにフレンなのだ。自分の傍にずっといてくれたひとだ。
格好など関係ない。来てくれた、のだ。
「フレン=ラッシュハルトです。お嬢様」