どうだろう。この酷い労働環境。

労基に訴えたら、勝利が約束されるレベル。

過重労働に加えて、もらえる給料は最低賃金以下って。

大昔の奴隷か。俺は。

とは言っても、残念ながら俺が労基に訴えたところで、勝てる見込みは薄い。

え?こんな劣悪な労働環境で、何で勝てないのか、って?

その答えは簡単だ。

何故ならここは、職場ではないからだ。

俺がやっていることは、きちんと最低賃金の保証された、雇用関係を結んだ労働ではない。

俺は今、あくまで『帝国の光』という組織の、ボランティアをしているだけなのだ。

そのボランティアの見返りに、組織から「好意として」謝礼(という名の給料)を受け取っているだけ。

部活の部長をやってるからって、給料もらえたりしないだろう?それと同じ。

だから本当は、俺がどれだけ身を粉にして組織の為に働こうとも。

『帝国の光』は、一銭たりとも出す義務はないのである。

それなのに、好意として、住居を手配し、かつ最低限暮らしていけるだけの立派な「謝礼」を用意しているのだから。

感謝しろよボケ、ってなところだろうな。

いや、もういっそここまで来たら、謝礼のことなど忘れて。

いっそ社畜になったのだと開き直って、無償で働くくらいの気概を見せた方が良いのかもしれない。

実際、他の親衛隊党員は、例え無償でも同じ働きをしただろうから。

彼らはルティス帝国の未来の為に働いているのであって、金儲けがしたい訳じゃない。

金銭目的で、『帝国の光』に入ってきている者はいない。

ここは会社でもなければ、慈善団体でもないのだから。

『帝国の光』は、党員がどれだけ組織の為に尽くそうと、いかなる礼も返す必要はないのだ。

だって、一応組織の顔としては、党員は皆平等だからな。

一般党員は、誰も謝礼なんてもらってないんたから。

親衛隊だけでも、一定額支給してもらっているだけ、感謝しなければならないのだ。

だからって、なぁ?

これだけ組織の為に尽くして、その見返りがこれでは。

とてもじゃないが、共産主義万歳とは思えない。