緊張で固まっている私の、後ろで。

「まだ!?ねぇまだ!?もう鳴らして良い!?」

「あと3分だよ、アリューシャ」

「うぉぉぉ!カップ麺の時間だぁぁぁ!」

クラッカー片手に、騒がしく話しているアイズとアリューシャの声も。

今の私の耳には、届いていなかった。

それくらい、緊張していたのだ。

あと…あと、3分。

あと3分で、私の運命が決まる。

そうか。私はそういうことには無縁だと思ってたけど。

全国の受験生は、皆この緊張感を味わっていたんだな。

正直、何度も経験したいものではないな。

しかも。

私最初は、合格発表のときって、わざわざ大学まで行って。

掲示板に貼り出された、自分の受験番号を探すものだと思っていたが。

今時は、ネットで合否が分かるんだって。

で、合格通知が郵便配達で届くんだって。

何だか、あまり面白味がない気もするけれど。

掲示板を見に行って、もし自分が落ちて、周りの人が喜んでいる様を見せられたら、多分物凄く惨めな気分になりそうだから。

家のパソコンで、こっそり一人で確認出来る方が良いのかも。

…などと、考えていると。

午前10時ぴったり。

合否が発表される時間になった。

「お!10時だ!クラッカー!鳴らして良い!?もう良いだろ!?」

「まだだよアリューシャ。これから確認するんだから。もう少し我慢して」

「うぉぉぉー!まだなのかー!」

アリューシャに急かされるように、私は、慌てて合否が表示されるページをクリックしたが。

アクセスが集中しているようで、なかなかページが開かない。

ドキドキしながら、何度もページをクリックし直して、合否が表示されるのを待つ。

すると。

「あっ」

ようやく、ページが開いた。

そして、そこに表示されていたのは。

「合格です。おめでとうございます」の文字。

思わず、くらくらと倒れてしまいそうになった。