…翌日。

昨夜伝え損なった、ルーチェス嫁護衛の件について頼もうと、ルヴィアを呼び出すと。

「ルルシーさん!おはようございます」

めちゃくちゃ良い笑顔でやって来た。

昨日はどうもご苦労様だったな。

「…元気そうだな」

ちょっと皮肉を込めて言ってみたのだが、ルヴィアはむしろ、目を輝かせて。

「はい!昨日嫁にケーキ買って帰ったんですけど」

知ってる。

プリンタルトだろ?

「帰ってすぐ玄関で、ケーキ買ってきたよって言ったら、凄く喜んでくれたんで、俺思わず飛びついちゃったんですよ」

玄関の扉が開けっ放しだった理由は、それかよ。

嫁が予想以上に喜んでくれたから、ヒャッハーして扉閉めるのも忘れてたんだな。

馬鹿だな。

「凄い美味しそうに食べてくれて。あ、俺にも食べさせてくれたんですけどね」

それも知ってる。

一緒に肥え太るんだろ?

「そのときの嬉しそうな顔が可愛くて可愛くてもう、うちの嫁は世界一可愛いんです!世界一可愛いんです!」

二度言ったぞ、こいつ。

大事なことだから念の為、と言わんばかりに。

「…それで、あのな、仕事の話を…」

「それから、あんまりはしゃいでるのが恥ずかしくなったのか、ちょっと照れ気味にもぞもぞしてたのが、これまた可愛くてですね、もう可愛過ぎて俺痙攣起こしそうになって…」

…うん。

…やっぱり、一回爆発してもらって良いかな。





ちなみに、本題の、仕事の話に入れたのは、それから一時間後のことだった。