漆黒の花たち

物語の始まり
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白い朝

褐色した青い海

暑くも寒くもない微妙な風

私の毎日は、ただただ過ぎていく。
この町で。

楽しいけど味気ない平和すぎる中学校生活。
何かが、欠けているような。
いつもそれを求めて けど見つからなくて
私の手はずっと空を掴んだまま。
それからしばらく
何 か が 足 り な い
という
この゛感じ゛は
私が創造した想像だと思い込んで
求めないようにしていた。
その気持ちを後押しするように
勉強 勉強。
いつの間にか私は
私じゃなくなってた。
あの゛感じ゛を忘れてから
私はずっと
未完成のまま。
ああ、もどかしい。
なんだろうこの感覚。
何かが、何かが
私と巡り会うべきである何かが
まだどこかで
うごめいている。
こんなこと
人に言えるわけでもなく
説明しようにも難しいから
ずっと1人で抱え込んでいる。

なんか…ないかなぁ
『運命』みたいな何かが
訪れないかな

放課後
家に着く。
扉の前に立つ。

例えばさ、
この扉を開けると
異次元が広がってて
私を
このつまらない世界から
連れ出してくれたりとか…。

はは。
これはただの妄想か

そう心の中で笑いながら
ドアに手をかける。

私が求めてるのは
暇な時にする
ただの妄想とか
たまにふざけて言う
現実への嘆きとかじゃなくって
もっと
なんかさ
そう

ガチャ

運命的な ーーーーーー
「運命的な出会いをあなたに!
おめでとうございます!!
あなたはこの舞踏会への招待者に
見事選ばれました!」

……へ?

急な声とその内容に
驚いてフリーズしてしまった。
見るとそこには
一通の手紙が

何これ

少しザラザラとした、
白い横長の封筒に
ワイン色のハート型シールが貼られている。

え……何これ!?何これ!?怖いって!!

今はお父さんもお母さんも仕事でいない。

何これ?誰宛?どうやって家の中に

あらゆる疑問が頭の中をぐるぐる回る。

宛先は書いてあるはず……

手紙を裏返すとそこには…

私ぃ!?

なおさら焦って 怖くなる

でも私宛だよね…
見るかどうかは私が決めれるわけで…
しかもさっき
おめでとうございますとか何とかって

気づくと私は封筒を開けていた

漢字(かんじ)様へ
この度漢字(かんじ)様は、天の上で皆様を見守っておられます、恋神様主催の、7日間にわたる舞踏会へ招待されました。このイベントは世界中を巡り、国ごとに行われてきました。そしてついに、日本に上陸致しました。参加者は貴方様を含め、全国の中学1年生のうち男女20人ずつのみ招待されます。その40人に選ばれる条件として、
・日々に刺激を求めている者
・今現在愛するものがいない者
・心が清い者
のこの3つが当てはまる者でなければなりません。そして、そうして選ばれた男女40人には、舞踏会から帰る時には必ず、運命の人と巡り会えています。集合時刻は今日の夜10時。今夜は10時ぴったりに眠りについてください。そうしたら、私たちが夢の中にお迎えに行きます。それではまた。

え……
何これ何これ何これ
恋神様って誰!?神様!?
あと
夢の中ってどういうこと!?
現実なの夢なのなんなの!?

なにがなんだかわからない。
でも、気にならないことは無かった。

恋に興味を持ったことなんか
1度もないし
見た目はもちろん
中身にも自信はないが
なんだか少し
ワクワクする。
すごい物が見れそうな気がする。
こんな手紙を
すぐ真に受ける自分も相当馬鹿だと思うけど
もし行けたらそこは知らない世界。
それはまさに
私が求めていた刺激。
この手紙が嘘だったとしても
このワクワクは嘘じゃない。
今日10時に寝ればいいだけ。

私は今日、10時に寝ることにした。