───ピンポーン。

7時過ぎ、私の家のチャイムが鳴る。

「はーい、今行くねー!」

チャイムを鳴らしたのは翔太だし、いつものように明るく返事を返す。

朝早い翔太の迷惑にならないように、私も早めに準備してるつもりなんだけど……翔太、早すぎるよっ……。

「ごめん翔太!お待たせ!」

結局、翔太が来てから4分くらい待たせちゃったし、申し訳ないことしたなぁ。

「気にしないで。行こ、奏音」

翔太は、私が遅れたにも関わらず、優しく手を差し伸べた。

私たちの家は、学校からそんなに遠いってわけでもないから、ゆっくり学校に向かう。

「奏音、今日寝坊した?寝癖ついたまま」

「え、嘘っ!?どこどこ!?」

ね、寝癖……!?ついたままだったの?鏡はちゃんと見てきたのに……!

寝癖を探して頭をぺたぺた触っていると、翔太が笑いをこらえているのが見えた。

「っ、はは……奏音ちょろすぎ。寝癖なんてないよ、1つも。詐欺にあいそうで心配」

う、嘘でしょ……またからかわれたっ……!

「もう、翔太ったら……!やめてよ、びっくりするじゃん!」

「あはは、ごめんごめん。でも、焦ってる奏音も可愛かった」

もう、翔太はさらっと人を褒めるんだから……。