――ブーブーブー...。


呼び出し音が鳴っている。

どんな音よりも耳障りだ。

早く消さなきゃ。

そう思い、ブザーに手を伸ばした、

その時だった。


「こんなとこで何してるの?」


――ブー.........。


ブザーが止んだ。

驚いて顔を上げると、そこには...。


「朝吹くん...」

「何かあった?」


私は俯いた。

私に何かあったわけではない。

何かあったのは、律くんだ。

今1番辛いのは律くんのはずだ。

なのに、私が泣いていいわけない。

何も出来なかった私に泣く権利などない。

でも...

でも...ね。

やっぱり......泣きたいよ。

泣きたいよ、私だって。

だって、私こんなにも

こんなにも強く

律くんのこと、思ってるから。

同じ哀しみを味わうことしか出来ないけど、それでも...何もしないよりはマシだよね?

だから...泣いてもいいかな?