そこまで話したところで、堪えていた涙がポロリとこぼれ落ちてきた。一度こぼれ落ちると、もう止まりそうには無い。

「マニィ? どうしたの? どうして泣いてるの?」

 ルーエンは困ったように首を傾げ、マニエルの頭を優しく撫でた。この温もりも今日で最後。自分の愚かな行動のせいで。
 そう思ったら、マニエルは堪えきれずに益々大粒の涙を溢し始めた。

「困ったなぁ」
「申し訳…ひっく……ありま…ひっく…せん……」

 ルーエンはマニエルを見下ろしたまま、困ったようにポリポリと頭を掻いた。

「これは最後に言おうと思ってたんだけど──」

 ルーエンがマニエルの顔を覗き込んだ。

「マニィ。僕達の婚約、終わりにしようか?」

 マニエルは息が止まるような衝撃を受けた。