「……パン屋に会いに行く。客として」 「ああ、なるほど」 ルーエンは頷いた。 スーリアは今も、レッドハットベーカリーで店番の手伝いをしている。そこに客として訪れるならば、会うことも可能かもしれない。 「これ以上、拗らせないようにね。リアちゃんが気落ちすると……」 「何だ?」 「いや、何でもないよ。仲直り出来るといいね」 ルーエンは何かを言いかけ、思い直したように口を噤んだ。