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翌日、レッドハットベーカリーでお手伝いをしているスーリアはご機嫌だった。無意識に鼻唄をならし、自然と笑みがもれる。

「リア、機嫌いいな?」
「そう?」

 リジェルが不思議そうにスーリアを見つめる。その時、リジェルはスーリアの胸元できらきらと輝くネックレスに気がついた。

「そのネックレスを買って機嫌がいいのか?」
「あ、これは貰ったの」
「貰った?」
「うん。魔法騎士の団長閣下に」

 それを聞いたリジェルは呆然として目を見開いた。

「え?……まじか。……そうなの…?」
「ええ、そうよ。それがどうかした?」

 まじか、嘘だろ、とリジェルはぶつぶつと呟いている。そんなリジェルの背中を女将さんがバシンと叩いた。

「もたもたしてるから横から掻っ攫われるのよ」

 女将さんに叱責されてがっくりと項垂れるリジェルを見て、スーリアは首をかしげたのだった。