転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 攻撃の強さから言えば、ファイヤーグリムの火撃はサンダードラゴンの雷撃の足もとにも及ばない。それなのに、サンダードラゴンの雷撃は無傷でファイヤーグリムの火撃は火傷を負った。
 まともに魔獣の火擊をくらって軽い火傷で済んでいるのだから、花の効果はあったはずだ。しかしこれは……。

「花の力が弱まっているのか?」

 そうとしか思えないが、考えても理由は思い当たらない。

 ──これは、ルーエンに相談する必要があるとな。

 そう判断したアルフォークは魔法騎士団の制服に着替えるとすぐにルーエンの元へと向かった。

「ルー。少し気になることがあるんだ」
「気になること?」

 アルフォークが魔術研究所を訪れると、ルーエンは魔法のポーションを作製している最中だった。目の前の大鍋では何やら怪しげな薬草が沢山煮込まれている。濁った緑色のそれは、見るからに不味そうだ。