クルミの体調がよくないということで、今日の勉強は見送りになった。


だけどクルミは別に嬉しさを感じることはなかった。


そのかわり土日の勉強時間が増えることはすでに知っている。


夜になるのを待ち、クルミはそっと自分のベッドから置きだした。


ベッドの下に自分で準備しておいたジーンズとTシャツという姿に着替えをして、同じようにベッド下に隠していた点火棒を取り出す。


これはキッチンで使われていたもので、クルミは寝る前にこっそりと盗んできていたのだ。


準備を整え、仮面を両手に持った。


窓からの月明かりで輝いて見える。


昼間これを見つけたときもそうだった。


この仮面は迷える人の心に寄り添ってくれる。


こうして光を照らしてくれるものなのだ。


クルミは口元に笑みを浮かべて、仮面を自分の顔に近づけた。


まだ2度目だというのに仮面のすっかり肌触りのとりこになっていた。


うっとりと目を閉じて仮面をつけるとすぐに吸い付いてくる。


この瞬間、自分と仮面がひとつになったと感じることができるのだ。