スカートのポケットをまさぐり、あの100円ライターを握り締めて取り出す。


使い物にならないライターだったが、クルミはなんとなく捨てることができずに持っていたのだ。


右手は乾いた草の上でライターをすった。


カシュッカシュッと、乾いた音がして、不発の火薬の臭いがただよい始める。


どうせつかない。


そう思った次の瞬間、火がついた。


えっ!?


驚いているクルミを横目に一瞬ついた火はすぐに乾いた草に燃え移る。


クルミの足は再び勝手に動き出して、空き家から逃げ出したのだった。