止まって!


お願いとまって!


クルミが心の中でどれだけ懇願しても足は止まらない。


気がつけばクツミが知らない場所に到着していた。


周囲には民家が立ち並んでいるが、空き家が多いようで窓ガラスが割られていたり、壁に蔦が絡まったりしている。


なにここ。


私こんな場所知らない。


走ったせいで汗がにじみ、息が切れている。


すぐに帰ろうとするのに、クルミの体はそれを許さなかった。


クルミはの体は勝手に空き家の庭へ侵入すると、乾いた草を踏んで家に近づいていく。


こんな汚いところ嫌だ。


すぐに出たい。


クルミの体は割られた窓の前で立ち止まった。


すると今度は右手が勝手に動いた。