「なにこれ」


クルミは躊躇もなく、真っ白な仮面を手に取っていた。


仮面は太陽光を浴びて少し暑いくらい熱をこめている。


「仮面?」


角度を変えて確認し、自分が拾ったものが仮面であるとわかるとクルミは後方を振り向いた。


人の気配はない。


誰かが自分をからかって遊んでいるのではないかと思ったが、そうではないようだ。


クルミはその仮面を手に屋上を出た。


室内で確認してみると、その仮面はなんの装飾もなく真っ白だった。


裏側も同じように真っ白で、なんだか安っぽく見える。


「ふーん。これが噂の仮面ねぇ」


全然信じていないような口調でそう呟きつつ、仮面を握り締めて学校を出たのだった。