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クルミの1日のスケジュールはいつも決まっていた。


学校から帰るとまずは宿題を1時間ほどで終わらせる。


夕食をとった後はまた1時間の勉強。


これは経済学などの仕事に関係する勉強だ。


その後は30分入浴をして、寝る前にまた1時間の勉強。


そして10時にはベッドに入っていないといけなかった。


子供じゃないんだから10時に眠ることなんてできない。


それでもベッドに入っていないと怒られるから、クルミはいうとおりにしていた。


おかげで面白いと噂のテレビ番組を見ることもできない生活が続いている。


早く寝て、朝5時には起きて勉強だ。


たまに友人たちと遊びに出かけたりするにしても、数日前にその予定を両親に伝え、承諾してもらわないといけない。


誰とどこで遊ぶのか。


帰った後は何時間勉強をするのか。


その報告の中で父親が少しでも懸念に感じることがあれば、その遊びの約束は反故される。


クルミの人生はこの家に生まれたときからすべて決められているようなものだった。


クルミ本人がああしたい、こうしたいと願ってそれが叶ったことなんてほとんどない。


友人たちが自分でクッキーを焼いて学校に持ってきたり、新しい文房具を持ってきたりしても、クルミにはそれすらもすべて与えられたものだった。