今盗もうとしているのは万年筆よりもずっと大きなものだ。


しかも店員やお客さんの視線もある。


そんな中で本当に盗むの?


自分自身に質問するが、答えはすでに決まっていた。


弟にあんな返事をしてしまってから、リナのやることはひとつしかなかったのだ。


リナはマスクを取ってバッグにしまうと、白い仮面をそっと自分の顔に近づけていく。


肌に当たる瞬間少しだけヒヤリとした冷たさを感じたが、すぐに吸い付いてきた。


仮面はリナの顔にピッタリと密着している。


もう両手を離しても大丈夫だった。


そしてリナの足は今日の放課後と同じように、リナの意志には関係なく動きだ明日のだった……。