リナの足はリナの意思に関係なく2年B組の教室へと向かう。


誰もいなくなった教室へ足を踏み入れると、クルミの机の前で立ち止まった。


すると今度は素早く右手が動いていた。


クルミの椅子をどかせると机の中に手を差し入れる。


そして一本の万年筆を掴んで出てきた。


万年筆を持った右手はそれをリナのカバンの中に滑り込ませる。


そしてリナは何事もなかったかのように教室を出て行ったのだった。


すべての動作に無駄がなかった。


リナはなにひとつ自分で考えることもなく、最初の盗みが終わっていたのだった。