「これ……仮面?」


近づくとそれが真っ白な仮面であることがわかった。


なんの絵も描かれていない、ただ真っ暗な穴が3つ空いているだけのものだ。


まさかこれが噂の仮面?


リナは眉間にシワを寄せ、仮面を手にとってまじまじと見つめた。


なんの変哲のない仮面だ。


これをつけて犯罪者になれるなんてきっと誰も信じないくらいにシンプルだ。


噂の仮面というのだからもっとおどろおどろしいものを想像していたリナは拍子抜けしてしまいそうだった。


とはいっても、これが本当に噂の仮面なのかどうかはわからない。


まずは使ってみないと。


そう考えたリナはなんの躊躇もなくその仮面を自分の顔に押し当てた。


仮面の表面はツルリとしていて心地よく、肌触りがいい。


肌に直接吸い付いてくるような感覚があり、リナは両手をそっと仮面から離した。


仮面は下に落下することなく、リナの顔に張り付いている。


一瞬恐怖心を感じたが、リナが仮面を外すより先に足が動いていた。


「え、なに!?」


突然動き出した自分の足に混乱する声が漏れる。


しかし、その声はリナの心の中だけで発せられたもので、実際には少しも声を出してはいなかった。