友人たちはリナに手を振り、教室を出て行く。


リナも友人たちに手を振り替えし、教室に誰もいなくなるのを待った。


そしてカバンを片手に持ち階段を上がり始める。


もうほとんどの生徒が帰宅したり部活動へ向かったようで、廊下や階段に生徒の姿は見られなかった。


自分の足音だけが聞こえてくる階段を登りきると屋上へと続く灰色のドアが見える。


どうせ鍵がかかっているはずだ。


そうわかっていながたも、どこかで期待しながらドアノブに手をかけた。


そしてそれをまわして見ると、ドアは予想に反してすんなりと開いてしまった。


リナは目を見開き、ドアノブを握り締めたままその場に立ち尽くしてしまった。


「開いちゃった……」


まさかドアが開くとは思っていなかったので混乱し、つい後方を確認したりする。


しかしそこには誰の姿もない。


リナはゴクリと唾を飲み込んで視線を戻し、屋上へと一歩踏み出した。


空は晴れ渡っていて、心地よい風が吹いている。


灰色のコンクリートとはげてきた白いフェンスに囲まれた屋上に人影はなかった。


先生や事務員さんがいるのかと思ったが、どうやらそれも違ったみたいだ。


不安を感じながら屋上を見回したとき、太陽光を跳ね返しているものがあることに気がついた。


それは眩しく輝いていて、リナを目を細めながら近づいていく。