わざとリナを怒らせようとしたのに見事に失敗してしまったからだ。


「ふぅん? でもさリナってアイドルじゃん。アイドルって貧乏なの?」


「そ、それは……地元アイドルは、ボランティアみたいなものだから」


リナは引きつった笑みを続ける。


実際にそうだった。


いくら活動をしても、いくらグッズを売ってもリナたちの手元に入ってくるのはお小遣い程度のもの。


学校終わりにアルバイトをしたほうがよほどお金になる。


「ふぅん、そうなんだ」


いくらつついてもリナがボロを出さないので、クルミは飽きたように大きな欠伸をして背を向けた。


その後ろ姿を一瞬だけ睨みつける。


噂ではクルミも地元アイドルコンテストに参加していたという。


だからきっとクルミはリナをアイドルの座から引きずり下ろしたいのだ。


だけどそうはさせない。


私はいずれ全国的にデビューして、クルミの嫌味なんて聞こえないくらいのお金と夢を手にいれるんだ。


「じゃ、行こうか」


リナは笑顔になり、みんなと一緒に教室を出たのだった。