毎日通っている学校なのに、こうして侵入するとまた違う景色に見えてくるから不思議だった。


個室に入った恵一は深呼吸をして仮面を取り出した。


相変わらず真っ白で無表情な仮面。


だけどこの仮面をつけると自分は最強になれる。


どんなリナの姿だって、誰にもバレずに自分のものにすることができるのだ。


自分の言葉も行動も奪われた機能の恐怖はいつの間にか消え去り、恵一の中には大きな期待だけが鎮座していた。


その期待は誰がどう押しのけようとしても、簡単にはいなくなってくれそうにない。


恵一は期待に身を任せ、仮面を自分の顔にはめたのだった。