「七不思議って小学校とかにあるやつでしょう?」


「どこの学校にでもあるんだよ。この学校にも」


「なによその七不思議って」


2人は笑いながらも、話を聞く体勢に入っている。


恵一はなにげなくその噂話に耳を傾けた。


「どんな犯罪でも、プロ級にこなせるようになる仮面があるって話」


それは恵一の想像も、そして聞いていた女子2人の想像も優に超えていくものだった。


さっきまで聞こえてきていた笑い声はパタリとやんで変わりに困惑している空気が恵一にまで伝わってきた。


「その仮面はね放課後の屋上に突如出現するんだって。でも必ずってわけじゃない。仮面を必要としている人の前にだけ現れるの」


「な、なにそれ。プロ級の犯罪者になれるってこと?」


「まぁ、そういうことだよね。ね、面白いでしょう?」


「そうだね。普通の七不思議とは随分違うけど、面白いかな。でも屋上の鍵は閉められてるはずだから、誰も出られないよ。やっぱり噂は噂だね」


これでこの話は終わりとばかりに手が叩かれる。


それに伴って彼女たちの話題は切り替わっていった。


けれど恵一の頭の中にはプロ級の犯罪者になれるという仮面のことで頭が一杯になっていたのだった。