そっと仮面に触れてみると、それは皮膚のように柔らかく、そして脈打っていた。


光平の血管が仮面の中に入り込み命が吹き込まれたかのように。


光平は一瞬息を飲み、慌てて室内へと戻った。


割れたガラスが散乱している場所へと移動して、自分の姿を確認する。


散乱しているガラスに映っている自分の顔は……白い仮面に血管が浮き出ている様子だった。


血管は見る見る仮面を埋め尽くす。


それは光平の一部となりつつあるのだ。


「なんだよこれ、なんなんだよ!」


焦って仮面に手をかける。


しかし仮面を引き剥がすことは自分の顔を引き剥がすのと同じこと。


光平は体中に突き抜けるような痛みに絶叫を張り上げたのだった。