こんな時間にどこへ行くんだ?


リナの姿を見つけた恵一は一瞬眉間にシワを寄せたが、すぐにその後を追いかけた。


リナの眠っている姿を撮影したかったが、今日はお預けになるかもしれない。


それは残念なことだったけれど、今はリナの行動のほうがずっと気になった。


リナの後を追いかけていくと、どんどん高級住宅街へと入っていく。


慣れない場所に戸惑いながらリナを見失わないように必死について歩いていくと、リナは大きな家の前で立ち止まり表札を確認しはじめた。


そして、そえがお目当ての家だとわかったのか裏手へと回っていった。


恵一は一旦門の近くまで行き、表札を確認した。


そこには『四条』と書かれている。


「四条って、四条クルミか?」


同じクラスのお嬢様を思い出して呟く。


リナはクルミと会話しているときに険しい顔つきになる。


そのことを恵一はしっかりと覚えていた。


2人の関係はあまり良好とはいいがたそうなのに、こんな時間に訪問するつもりだろうか?


いや、それなら普通に玄関から入ればいいだけだ。


リナは裏口へと回っていた。


疑問が膨らんできて、恵一は慌ててリナの後を追いかけた。