そう考えて恵一は思わずフフッと笑みを浮かべた。


まさか、仮面を拾った人間がこの場所に集合するとは思わなかった。


「出ておいでよ、南部恵一くん」


暗闇の中声をかけると工事現場の横から物音が聞こえた。


素早い身のこなしでそちらへ向かうと、デジタルカメラを握り締めた恵一がその場にうずくまっていた。


地面には白い仮面が落ちている。


光平がそれを手に取ると、恵一が慌てたように立ち上がった。


「そ、それは……っ!」


「知ってる。俺だってつけてるんだから」


光平は自分の顔を指差して答えた。


そのときようやく恵一は相手の顔をマジマジと見つめた。


悲鳴を上げそうになった恵一の首を光平が掴む。


喉をグッと抑えると悲鳴は掻き消えていった。


「俺のこと覚えてる? 同じクラスの立石だよ」


そう行って手を離したが、恵一は口をパクパクさせるだけで声を上げなかった。


どうやら上手に声帯をつぶすことができたみたいだ。


「君は仮面は盗撮だっけ?」


質問すると恵一は目を見開いた。


どうして知っているのだと質問してきているが、わざわざ教えてやるつもりはなかった。